虹の会NEWS
No.376 2025年2月10日
発行:BPW福岡クラブ「福岡虹の会」
会長 菊川 律子
事務局:福岡市東区和白丘1丁目21-1-706
例会スケジュール ●2月例会 日 時:2月25 日(火)18:30~ 会 場: 天神ビル11階8号会議室&Zoom テーマ:「北京JACふくおかのあゆみとこれから」 ~北京JACふくおか25周年記念誌を発行して~ 講 師:記念誌編集委員会 髙山史子会員(元あすばる館長) 久保カヨ子会員(北京JACふくおか副代表) 当 番:安恒万記さん(司会)、稲津佳世子さん(記録)、下田幸子さん(発送) [要 旨]:北京JACふくおかは、1999年12月「北京行動綱領」の学習や地域での検証、男女共同参画社会の推進と他のNGOグループとの連携などをめざして、福岡都市圏を中心に発足。以来、「平等の文化を創る」を旗印に、ニュースの発行や各種講演会・勉強会の開催といった様々な活動を続けてきて、25年が経った。 今日本は、2024年のジェンダーギャップ指数146ヵ国中118位といった、多くの課題を抱えており、「北京JACふくおか」の願いの実現にはまだまだの感がある。 この時代を生きた者の責任として25年間のあゆみを丹念に紐解き、「何が変わり、変える事が出来なかったものは何か」「エネルギーはどこから来たのか」「次の世代に伝えたいものは何か」等々を少しでも明確にし、我々を突き動かしてきたエネルギーと情熱を次の世代につなぎたいとの願いを込めてこの記念誌を作った。 同じ福岡の地で、同時代を生きた「福岡虹の会」とは重複する会員も多く、これらの検証作業を共にできるのではないか、「これからの福岡でどう生きるのか」を語り合えるのではないか等と、多くの期待を持っている。 ★例会ZOOM参加 URL、QRコードは固定化していますので、毎回下記のものをご利用ください。 https://zoom.us/j/94225949459?pwd=8BCp3fbUGkKR7VB6iuiW7WkyI3Kq1h.1 ID:942 2594 9459 パスコード:496270 ●3月例会 日 時:3月22 日(土)14:00~[土曜例会] 会 場: 天神ビル11階8号会議室&Zoom テーマ:「炎症を軽減して認知症を予防する」 講 師:武 洲会員(九州大学歯学研究院准教授) 当 番:中野由美子さん(司会)、辻部亮子さん(記録)、三浦佳世さん(発送) |
【レインボー・カフェ 女性と労働2024】
★第10回(1月)開催のご報告
・日 時:1月11日(土) 19:00~21:00(Zoom開催)
・テーマ:「2025年の抱負とプラン」(参加者全員)
★第11回(2月)開催のご案内
・日 時:2月27日(木) 19:00~21:00(Zoom開催)
・テーマ:「NHK大河ドラマ べらぼう 蔦屋重三郎が生きた世界」(藤田ひろみ会員)
蔦屋重三郎が生きた時代、世界有数の都市だった活気あふれる江戸中期を、教育、文化、政治、
海外諸国の状況を大河ドラマに沿って解説します。
Zoomで行いますので、飛び入り大歓迎です。
興味のある方は、ぜひお知らせください。
連絡先:中野(090-7469-5554) (中野 由美子記)
【1月例会報告】 ●1月例会 日 時:1月22日(水)18:30~ 場 所:天神ビル11階8号会議室&Zoom テーマ:新入会員トーク 卓話者:野田律子会員(福岡県男女共同参画センター「あすばる」センター長) 大田京子会員(福岡県議会議員) 坂本美登利会員(一般社団法人Actellus 代表理事) 当 番:野依智子さん(司会)、大國眞希さん(記録・代替)、白水心子さん(発送・代替) 出席者:会場17名+Zoom4名、計21名 【卓話要旨】 2025年1月例会では野田律子会員、大田京子会員、坂田美登利会員にご登壇いただき、新入会員トークを開催いたしました。 〈野田律子会員〉 福岡県男女参画センター「あすばる」センター長を務めていらっしゃる野田律子会員は「これまでの仕事と現在」についてと題して①福岡県職員(1984.4~2022.3)②社会福祉法人理事長(2022.4~2023.3)③福岡県男女共同参画センター「あすばる」センター長(2023.6~)の3つの時代に分けて、仕事上での経験をお話しくださいました。福岡県職員としての38年間は企業局、秘書室、農業経済課、県税事務所、福祉事務所を経験なさり、役職としては人事委員会事務局(係長)、人事課(係長)、新生活産業室(補佐)、子育て支援課(補佐兼係長、企画監)、子育て支援課長、政策課長、私学振興・青少年育成局長、職員研修所長と、特に福祉施策や子ども・若者支援などに携わっていらしたそうです。次になさった社会福祉法人理事長は1年間、福岡県厚生事業団で、障がい者リハビリテーションセンターを運営し、福祉現場の第一線で頑張る様々な職種の職員・利用者の方々との関わりをお持ちになったそうです。財源確保、人材確保、処遇改善などの難しさに直面したと語っていらっしゃいました。また、「あすばる」については、2024年5月例会でもお話しいただいた(2024.6.10発行「虹の会NEWS No.370」の例会報告をご覧ください)ので、それ以降に開催された「福岡県ジェンダーフォーラム2024」や「福岡県ジェンダーマンス」「高校生×ジェンダー平等のワークショップ」について詳細をご紹介くださいました。今回から名称変更し開催された「福岡県ジェンダー平等フォーラム2024」では、タレントのSHELLYさんをゲストに迎え、初開催となる「高校生×ジェンダー平等ワークショップ」の成果報告会も行われ、複数のテレビで報道されるなど、多くのひとにジェンダー平等の意識が広がる意義深い活動となったご様子が伝わる内容でした。今後も「あすばる大交流会」(1月25日)、「地域のリーダーを目指す女性応援研修報告会」(2月15日)、「みらいねっとフォーラム2025」(3月1日)が決まっているそうです。詳しくは「あすばる」ホームページ(https://www.asubaru.or.jp/)でもご覧いただけます。最後に現在のご趣味である登山についてもお話しくださいました。60歳での病気を契機にウォーキングを始め、2022年からは登山をなさるようになり、2024年には、北アルプスを夏と秋の2回、縦走なさったそうです。そのときの尾根や山並みの景色や高山植物の美しい写真も共有してくださいました。 〈大田京子会員〉 福岡県議会議員をなさっている大田京子会員は、「家出少女だった私の恩返し」として、人生の転機となった年を基点にこれまでの人生についてお話しくださいました。最初のターニングポイントは9歳のときに単身で父を残し、母と共に福岡に戻ってきたときだそうです。3学期直前の引っ越しで、名前ではなく「転校生」と呼ばれ、疎外感を抱くこともあったそうです。次に福岡女学院で思春期を過ごし、そこではそもそも女性ばかりなので応援団のキャプテンにしても、リーダー的な役割を当然女性が担う場所で、生徒会にも入り、女子校で過ごしたからこそ女性が当たり前に活動していくベースがつくられたと感じているそうです。そして、完全に実力主義のほうが年功序列の会社よりも自分には合っている、必要とされるポジションに就きたいと考えて、ユニクロに入社したそうです。勤めたお店で、選りすぐりの優れた店長が赴任されたのですが、その時衝撃的な体験をなさったそうです。ユニクロのなかでも最上級なスーパースター店長だったにも関わらず、旗艦店だったこともあり、売り上げなど強いプレッシャーがかかり、うつ病を発症して出社できなくなる事態が起こったそうです。しかも、上司であった店長だけでなく、部下だった2人も休職するに至った。そこで、これは様子がおかしい。私たちのせいなのか?と考え、会社の体質や制度にも問題があるのではないかと気付いた。そこで、心をケアする側にまわりたいと転職を決意したのが3つめの転機で30歳のときだそうです。家出をしたり、自殺念慮があったりした時に救ってくれた整骨院で働きたい、院長のもとで修業をさせてもらいたいと考えて、国家資格を取得し、鍼灸師となる。その境整骨院では鍼灸師として体のメンテナンスをするだけではなく、心の痛みもとれるようになりたいとカウンセラーと鍼灸師とを合わせもった自由診療スペースを作ったそうです。家庭環境からリストカットをしている女子と上司からパワーハラスメントにあっている会社員の治療にあたったが、家庭や職場などには踏み込めないと限界を感じるケースとなったそうです。ちょうどそのタイミングで政治家になってみないかと整骨院の院長に声をかけられて、家庭や職場環境を治療家では変えることはできないが、政治家にならできるのではないかと決断したそうです。そして、5つめの転機が訪れました。36歳で福岡県議会議員に初当選を果たし、現在は3期目となります。これからの人生の在り方について、政治の在り方について、子どもや当事者の発言を直接聞く社会にしなければいけないと考えている。その兆しとして「デジタル民主主義2030」という、AIの機能を使って、一人一人の意見が集約され、政策が提示される取り組みが始まっており、同時に、AIにアクセスできない方々の声を聞く、拾っていくのが議員の役割でもあるのかなと思っていらっしゃるとのこと。自分が幼少期に感じたような思いをなるべく感じさせないような、一人一人の声を大切にする社会にしたいとの思いを表明なさって、話を締めくくられました。 〈坂本美登利会員〉 一般社団法人Actellus(アクテラス)の代表理事を務めていらっしゃる坂本美登利会員は、外資系のコンピューターメーカーにSEとして勤務なさったのち、出産を機にライターに転身なさり、自分史や社会史を中心とした制作を中心にご活躍なさり、2015年には産業カウンセラーの資格を取得、夫婦関係・家族問題の相談業務に従事なさり、2022年にActellusを設立なさいました。現在、協議離婚が88%、調停離婚(家裁)が8%、何らかの形で話し合いをして離婚に至っていても難しく、家庭裁判所はいつも満室の現状があるそうです。そこで法務省の許可をとり、裁判外で紛争解決手続きを行うのがADRです。2007年に民間ADRの業務の認証制度が始まりました。Actellusはそのなかでも家族の問題に特化した機関です。民間で調停が出来る(裁判所と比べると、平日の17時以降や休日も利用でき、メールなど連絡対応にも融通が利くなど)利便性が高く、早期解決を目指す(裁判所に比べて「争いの少ない」解決が期待できる)、裁判所の手前の制度として利用できます。公平中立性と専門性が保障されつつ、弁護士に比べて比較的低額というメリットもあります。「家庭裁判所の手前の制度」として、問題がこじれる前に話しあいのサポートをおこない、また「協議離婚」であっても、話しあうべき項目についてきちんと話し合えるよう、機関を活用することができます。ActellusとはAny Concerns tell usから付けられた名称で、「どんな心配ごとでも、気がかりなことでも、私たちに話してほしい」という思いがこめられています。特に子どもがいる夫婦の離婚の場合は、親権者・養育費は取り決めが必要で、面会交流は取り決めが推奨されていますが、厚労子ども家庭局の調べによると、養育費を受給している母子家庭は30%に満たないですし、親子の取り決めをしている、現在も行っている母子家庭は30%ほどです。心理、法律の両面から適切な情報提供などのサポートが求められていると言えるでしょう。また、2024年には民法(家族法制)が改正され、選択的共同親権が導入されました。父母は離婚しても、子どもの利益を最優先に確保するために、益々「親の心構え」「知識」「両親間の話し合い・協力体制」が必要となります。今後、起こりうる問題や考えられてゆく様々な課題を、見据えながら、日本での体制づくりを行い、認知度をあげていきたいとお話しなさっていらっしゃいました。 オーディエンスからは、ADRの成果報酬や裁判所との違い、NPOではなく一般社団法人であることの意味、福岡県議会や福岡県職員の女性の状況、女性教育にまで話が及び、活発に議論がなされました。新入会員トークとして温かく、そして充実した内容の例会となりました。 (大國眞希 記) |